沖縄の伝統的な陶芸器であるやちむんの中でも、最も手間をかけてつくられた北窯登り窯のやちむんの器です。
登り窯とは、階段状の傾斜を利用し焼成室を築いた窯の一種で、最前部で火を焚き、下から順に焼き上げる仕組み。
「北窯」には年に数回火が入り、昼夜問わず職人たちが交代で見守る中、4日間火を焚き続け器を焼いていきます。
長い手間をかけて大切に作られた器達は素朴であたたかさがあります。
宮城さんの器は土の質感が残るどっしり重くプリミティブな印象を与えます。
沖縄の焼き物(やちむん)によく見られる「イッチン」。
これは、スポイトのようなもので化粧土や釉薬を、器の表面に押し絞りながら、
立体的な線や文様を施す技法のこと。
イッチン盛りやイッチン掛けとも言われ、
九州の小石原焼(福岡)や小鹿田焼(大分)では「ポンがき」とも呼ばれます。
西洋ではこの技法による焼き物をスリップウェアと呼びます。
今回A、Bで販売しております。
年に4回しか焼かれない読谷村 北窯。
4人の親方が集まり、共同運営している窯は世界からも注目を集める読谷の人気窯元です。
沖縄の読谷村、やちむんの里の中にある北窯は沖縄の焼き物「やちむん」を牽引している窯元として知られており、松田共司さん、松田米司さん、宮城正享さん、與那原正守さんの4人の親方が1992年に立ち上げられた沖縄県内で最大の13連房の登り窯を共同で運営されておられます。
北窯 宮城正享1950年 沖縄県那覇市に生まれる。
75年読谷山焼 山田真萬(やまだしんまん)氏に師事
90年與那原正守、松田米司、松田共司と共に「北窯」を開いて独立。親方の一人となる。2011年 読谷山焼北窯として倉敷民藝館賞を受賞する。
沖縄ではお椀のことを方言で「マカイ」と呼びます。大きな丼ぶりも「マカイ」と呼び、いわゆるお茶碗とは少し違います。
口径に対して、高さは低く、口縁がやや厚め。といった特徴があります。
使ってみると、非常に手に馴染んで持ちやすく、
沖縄では多くの窯がこの伝統の形を守り続けています。
Bの器にあるように登り窯で焼かれた北窯の器には「蛇の目」と呼ばれる特徴的な輪っかがお皿の中央部に付いています。これは登り窯の中でお皿や碗を重ねて、効率よく焼くための伝統的な技法で、器どうしが重なる高台部分の釉薬が塗られていない箇所です。最上部に置かれ焼かれたものには蛇の目がありません。